1-42 さようなら、京ビル

2001年末〜2002年初頭は近所の建物が次々と解体される、衝撃的な出来事が多かった時期でした。
石川県小松市。所々に古い町並みが残る都市ですが、ここでも老舗ビルが姿を消そうとしていました。

助手:先輩、最近、近所の様子が慌しいんです。もしかすると・・・
作者:おいおい、何だよ?
助手:京ビルが解体されるかもしれません。
作者:!!そうか、しかし、思っていたより早いな。どうしてそう思ったんだ?
助手:重機が入ってきてるんですよ。もしかしたら1階部分の解体が始まってるかもしれません。
作者:うーん、もう迷ってる時間はないな。内部に入れるかな?
助手:昼間は作業をするから無理でしょう。でも夜の探索はしないんですよね?
作者:夜は写真が自由に撮れないから駄目なんだよ。となれば、早朝しかないな・・・
助手:それじゃ、僕の部屋に泊まって、翌朝すぐに活動するのはどうですか?僕は寝ていますけど(笑)。
作者:(苦笑)。そうか、それじゃ泊めてくれ。俺一人で潜入してみるよ。

早朝のビル前。京ビルはまだ原形をとどめていました。

作者:お前なんか、この建物は見飽きているんだろ?
助手:まあね。ずいぶんくたびれた建物だなとは思っていましたけど。メインは1階のスーパーマーケットなんですけど。
作者:入ったことある?
助手:それが、1度もないんですよ(苦笑)。スーパーマーケットは夜行っても閉まってるし、コンビニのほうが便利だし。
作者:2階の店は?何か覚えていることがあるか?
助手:ないんですよね(苦笑)。美容室と喫茶店があることだけは知っていましたけど。

ビル全景です。テナントはすでに全て撤退、あとは取り壊しを待つのみです。
スーパーマーケット「犬丸屋」は近くに店舗を新築、現在も営業しています。
すぐに重機の魔の手が迫っていました。もう猶予はありません。
1階の出入り口が壊されて開放状態です。今なら入れそうです。

作者:速攻で潜入だ。
助手:えー、本当に入ったんですか?無茶するなぁ・・・。

1階の内部です。店舗の面影はまったく残っていませんでした。
瓦礫を掃除するホイールローダが入っていました。1階の解体作業はほぼ終了しているようです。

作者:1階の窓はガラスになにか貼り付けてあるようで、光が入らずに真っ暗だ。
助手:ここがスーパーマーケットの跡ですか?ちょっとわかりませんね。

鉄板の壁がそのままでした。周囲に壁らしき跡が見えますが、すっかり壊されていました。

作者:おそらく鮮魚か精肉の加工場だったんだろうな。
助手:壁の蛇口なんかもそのままですね。
作者:雰囲気は単調でずっとこんな感じだから、すぐに奥に進んだ(笑)。
助手:1階はそれほど見どころはないみたいですね。

角の出入り口周辺の内部は瓦礫が積み上げられたままでした。
トイレ?でしょうか。この区画だけ壊されずに残っていました。配管がだらしなくぶら下がってます。

作者:まあ、ざっとこんなもんだ。
助手:このぶんだと、メインは2階以上にあるみたいですね。
作者:2階にはまだ重機が入っていないみたいだったからな。まだまだ探索はこれからだ。

次回更新につづく

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