写真のノウハウ

廃墟に訪れたなら、ぜひ写真に残しておきたいもの。
ここでは、写真に自信がない人のために、写真の撮り方の基本を
解説しています。頑張って美しい写真を撮ってください。

2010年3月…内容がかなり古くなってきたので改訂しました(^^;

撮影してみよう

僕なんかは行き当たりばったりの旅行ですからその日の天候は運次第ですが、もし綿密に廃墟の探索計画を練っている場合、天候は重要な要素です。雨や雪の日は被写体に雨粒、雪粒が写り込んでしまうのでやはりおすすめできません。晴れの日を狙いたいですが晴れの日よりも薄曇りのほうが影が濃くならないので見やすい写真に仕上がります。もっとも建物の中の撮影では関係ありませんね。

屋外で建物の外観や景色を撮影する場合はそれほど難しく考える必要はないでしょう。順光か逆光かだけを気をつければめったに失敗はしません。逆光だけは注意!建物全体が真っ黒に写ってしまい何を撮ったかすらわからなくなります(^^;
どうしても逆光の位置で撮影したい場合、カメラの設定で強制的にフラッシュを発光させる手があります。陰になる部分にうまくフラッシュの光が届けばうまく写真が撮れるかもしれません。デジカメでしたら撮った写真を確認できるので便利ですね。

銀塩カメラで屋内を撮影する場合、原則としてフラッシュ撮影をおすすめします。高感度フィルムを使えばある程度克服できますがそれでも見た目より仕上がりが暗くなりますし高感度フィルム特有のノイズが目立ってしまいます。フラッシュ撮影が多くなったときは電池の残量にも気を配りましょう。
デジタルカメラは銀塩カメラより暗い場所には強いですが手ブレや被写体ブレの原因となりますのでフラッシュを使ったほうが無難です。
しかしフラッシュを使った写真は不自然な光の具合に感じてしまいます。全体にフラッシュ光が照射され、現場の臨場感が全く感じられない写真になってしまいます。単純に廃墟の内部を記録する目的だったら問題ありませんが、プロが撮ったような臨場感のある写真に仕上げたい場合はそれなりの対策を講じる必要があります。

左はフラッシュを使わずに撮ったデジカメ画像、右はフラッシュを使って撮ったデジカメ画像です。
右のほうが隅々まで明るく写っていますが左の方が現場の雰囲気が伝わってきそうな感じです。

対処法1:シャッタースピードを遅くする
銀塩、デジタルともにシャッタースピードを自分で設定できるカメラの場合、この方法でうまくいく場合があります。しかし手ブレする確率が非常に高くなりますので三脚が必須です。
対処法2:スローシンクロを使う
スローシンクロモードを備えたカメラであれば、これを使えばフラッシュは発光するものの弱めに発光して被写体、背景ともに明るく撮ることができます。現場の臨場感もある程度伝わってきます。ただしこの方式もシャッタースピードが遅く手ブレするので三脚が必須です。
対処法3:高感度モード(フィルム)を使う
銀塩カメラの場合、ISO800以上の超高感度フィルムを使い、デジカメの場合は設定でISO800以上(廉価モデルの場合ISO感度が設定できないことがある)にすると、シャッタースピードが速いままフラッシュなしで明るい写真を撮ることができます。良いことずくめのようですが、致命的な弱点は画質が劣化してしまうこと(高感度で撮った写真に見られるノイズ)です。高感度撮影の場合、ノイズが出るのは宿命ですがイメージセンサーの技術が進み、ノイズが目立たない写真が撮れるカメラも登場してきました。

屋内の撮影で一番失敗しやすいのが、暗い室内から窓辺に向かって撮影する時。窓の外ばかり明るく写って、肝心の室内が真っ黒、という結果を招きます。僕の過去の失敗作はほとんどこれで、廃墟物件No.1(奥飛騨の廃旅館)の写真がほとんど残っていないのは、これが原因でした orz カメラの露出を全自動にしている場合、明るい窓を中心に構えるとカメラは窓の明るい部分に合わせて露出を決めます。結果屋内なのになぜかフラッシュが発光せず、室内が真っ暗な写真が撮れてしまうわけです。
対処法1:強制的にフラッシュを発光させる
これだとカメラは全自動の設定のまま、室内はフラッシュの光で明るく撮れます。ただし室内にはフラッシュ光の違和感が残ります。
対処法2:露出補正で明るくする
カメラが決めた露出から手動である程度の幅で補正する機能があるのでそれを使います。プラス補正を施すと明るい写真が撮れますが、露出は室内に合わせたものになるので窓の外は確実に白飛びします。
対処法3:窓からの光を遮る
カーテンやブラインドを閉め、露出を室内に合わせると全自動でもうまく写真が撮れます。もっとも廃墟の建物で都合よくカーテンやブラインドが残ってるとは限りませんが…。

下の写真は助手が提供してくれた室内の写真です。明るい窓が中心の構図で、このまま全自動で撮影するとフラッシュが発光せず、失敗写真になってしまうそうです。

フラッシュなしで露出補正した写真。
室内も明るく撮れているが、カーテンの陰など、
暗い箇所がある。現場の雰囲気は伝わっている。
窓の外が白飛びしていて、景色は全く見えない。
強制フラッシュ発光で撮った写真。
部屋の隅々まで明るく写っているが、
現場の雰囲気は全く感じられない。
窓の外の景色は白飛びせずに描写されている。

手持ちのカメラに手ブレ補正機能がなく、三脚もなく、フラッシュも使いたくない場合、いくつかの方法で手ブレを回避できることがあります。
対処法1:壁などにカメラを密着させる
壁などにカメラをくっつけて片方は手で支えると手ブレの発生を幾分抑えることができます。足場の悪い場所で足元がふらつくときには特に有効です。
対処法2:セルフタイマーを使う
記念写真にしか出番がないと思われているセルフタイマーですが、これをシャッターレリーズ代わりに使うことができます。カメラを動かない台に載せて構図を決め、タイマーを3〜5秒程度に合わせて撮るとシャッターボタンを押すときのカメラの揺れがなくなります。難点はカメラを置く適当な場所がいつも都合よくあるとは限らないことと構図に制限ができることです。前者については手持ちのもの(傘、リュックなど)でうまく対処するしかありません。後者は小型の三脚を用意しておけばカメラの向きを自由に決められるので便利です。

以上、いろいろと書きましたが、デジタルカメラ全盛で大容量メモリが当たり前の今、数十枚くらいの失敗写真は怖くありません。心配ならば同じ構図でフラッシュ撮影、フラッシュ無し撮影の両方で撮っておけば確実です。撮った写真はモニターで確認できますからあまり難しく考えずにいろいろな設定で撮ってみて、最も良く写った写真の設定を覚えておいて次回以降の撮影に生かしましょう。