〜編集作業中の会話〜
助手:昔の写真ばかりで思い出すのも大変だ…。早く次の物件の写真を選んでくださいよ。
作者:どうせオマエは探索に参加していないくせに…。
助手:おや?50番目の節目である物件が未公開に。これは、僕も知っているアソコですね?
作者:ああ、そうだな。長らく廃墟として存在し続けていたが、3年位前についに解体された。
助手:むむむ。それは知りませんでした。その時に追悼企画を組めばよかったのでは?
作者:いやいや、例によって北陸廃物紀行のダイゾウさんが先行して探索を済ませていたのだ。投稿もしてくれたし、今更俺が探索して写真も必要ないかなって。
助手:ああ、そうでした(苦笑)。それじゃ、ここではさらっと流しましょうよ。後が閊えていますから。
作者:言いたいことはわかったから(苦笑)。無理に漢字変換するなよ。「つかえている(先に進めない意)」だな。
この物件は北陸廃物紀行のダイゾウさんとの合同探索です。
ダイゾウさんはこの探索に先駆けて単独で探索を完遂しています。そのレポートは投稿物件をご覧ください。
北陸廃物紀行ではさらに詳しいレポートを紹介していますので、まずはそちらを見てからここの閲覧をお勧めします。
この物件を紹介する前に、周辺の観光案内を簡単に説明します。
石川県の海水浴場でもっとも有名なところは「千里浜海水浴場」です。遠浅の海岸で、アサリやハマグリの潮干狩りも楽しめます。
この海水浴場が全国的に有名になったのは、この周辺の砂浜、今浜〜千里浜の間、全長8キロにわたって普通乗用車、大型バスの通行を可能にした「千里浜なぎさドライブウェイ」が整備されたからです。日本で唯一、砂浜の波打ち際を走行できる場所として、県内の海水浴客はもとより、県外の観光客も多数訪れるようになりました。最盛期の夏季には、県外ナンバーの自家用車がずらりと並ぶ光景がみられます。能登を観光するバス旅行では、この海岸を通過するコースが多数組まれています。
砂浜には長時間の駐車も可能で(海の家が管理するスペース以外は無料)、バーベキューやキャンプをする行楽客にも人気の場所です。ただしゴミを捨てる場所は設けられないので、自分で持ち帰る必要があります。
当たり前のようですが、自動車が強烈な潮風と海水を含んだ砂に晒されるので、帰宅後には洗車をしなければいけません(予想以上に砂が付着しています)。たまに海中にちょっと車体を突っ込んでいる車を見かけますが、これはお勧めできません。
今浜側の起点は細い生活道路を通る必要があり、ちょっとわかりにくい(案内看板はありますがこの道が本当に正解かと疑うくらいの田舎道)かもしれません。能登有料道路では今浜ICが最寄です。国道からも近いため、県内から来た常連客はこの今浜起点からドライブウェイに入ることが多いようです。今浜起点付近は夏季でも寂れた雰囲気で、いつ営業しているのかわからない飲食店(兼みやげ屋?)と無人の公衆トイレ(不審船に注意という物騒な看板がある)があります。砂浜に面した敷地には会員制のリゾートホテルがありますが、ここも長期休業中とのことです。ドライブウェイに入ってしばらくすると今浜側の海の家が数件あります(海水浴シーズン限定)。
全長8キロなので、なかなか走り応えがあります。中間地点に無人の公衆トイレがあります。そのトイレとは別の敷地に当該物件がありました。現在は取り壊され、更地となっています。
千里浜側の起点にも海の家が数件あります。始めて来た人の多くは千里浜起点からドライブウェイに入るので、こちら側のほうが車の数は多くて賑やかです。能登有料道路では千里浜ICが最寄です。羽咋市内からのアクセスも良好です。
千里浜観光の拠点として機能しているのが千里浜起点の砂丘に建っている観光センターです。大型観光バスが唯一駐車可能な場所で、バスの団体客が利用する大食堂があります。一般客の利用も可能で、定価で購入できる飲料の自動販売機はここしかないようです(今回紹介する廃墟物件にも自販機があった模様)。
かつては陸側から流れ込む自然水路が何箇所か砂浜を横断しており、その場所には注意を喚起する看板が立てられていましたが、現在は看板こそ立てられているものの、水路自体は衰退して自動車はもちろん人も簡単に跨げることができるようです。砂浜自体が徐々に侵食されて縮小しており、砂丘部分と波打ち際までの距離が10数メートルまで迫りかけたところが出てきて、砂浜保全が急務となっています。
ドライブウェイ自体は通年走行が可能ですが、台風や冬季の荒天時は通行が制限されることもあります。先述のとおり千里浜側の起点にはお土産屋、飲食店などがある観光センターが通年営業していますが夏季以外は行楽客が激減するため、なかなか採算が取れないようです。中間地点にあったこの物件も営業不振で廃業になって放置されたものと推測できます。
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いきなりオマケ写真ですいません。千里浜起点にある観光センター(仮名)です。 海水浴シーズンはもちろん、春、秋の行楽シーズンも多くの観光客で賑わいます。 |
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千里浜起点からみたドライブウェイの全景です。 海側、丘側の両側に駐車が可能です。車は中央を通行します。 丘側は海水に晒されにくいですが、砂があまり締っていないので タイヤが砂浜に嵌り込んでしまうかもしれないので注意。 |
助手:なんだか廃墟探索というよりも、単なる観光案内みたいですよ?
作者:へへへ。たまにはちゃんとしたレポートにまとめないとな。
助手:たまにはって・・・。毎回ちゃんとしてくださいよ。
作者:そうだな。
助手:先輩、今日はばかに素直ですね・・・。
作者:ここが公開できれば、あとは江戸村だけだから。ようやく公開が終了できそうだ。
助手:(ぼそっ)やっと半分なんですけど・・・。
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お目当ての物件に到着。先ほどの観光センターに比べて貧弱ですね。 立ち入りを禁じる申し訳程度のロープが張ってありますが、これは 誰でも突破できますよね・・・。 |
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正面入り口のガラス戸です。派手に壊されています。 ダイゾウさんが探索した時よりさらにガラスが割られています。 手前にある白い物体をぶつけて破壊したのでしょうか? |
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この廃墟の最大の見所、浜に面した大窓の壊れっぷりです。 なぜこうなってしまったのか、知りたいですが誰も知る人はいません・・・。 |
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ガラスはもちろん、窓枠までもが破壊されています。 |
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窓というより、通り抜け通路みたいになってしまってます。 |
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裏口には記念撮影で使う観光地と日付を記した看板が放置してありました。 |
作者:どうよ?
助手:うーん、投稿物件のときにすでに見ていたとはいえ、久しぶりに見るとインパクトありますね。
作者:あそこまでダイナミックに破壊された経緯が知りたいねぇ。
助手:まあいろいろ推測はできますけど、どれも決め手に欠けるんですよ。
作者:人為的に破壊されたにしてはすごすぎる。アソコまで壊してしまうエネルギーがどこにあるのか?
助手:ガス爆発説もありましたが、破壊箇所が限られていますから、説得力がないですね。火災の跡もなかったし。
作者:高潮や津波の可能性も考えたが、海水が浸水した痕跡は無い。そもそもこんな大津波はここ近年能登では発生していない(苦笑)。
助手:やっぱり台風、突風が原因ですかね。局地的な突風だけならあんな壊れ方もするかも・・・。
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中に入りました。内部の様子は簡単に済ませます。 |
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テーブル席です。ガスコンロが各席に備えてあります。 |
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このガスコンロが原因で爆発があったのかな?と思いましたが・・・ それならばテーブルや椅子も無事じゃ済まないですよね。 |
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サンプルが入ったショーケースです。 |
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お土産が並べてあったらしい棚です。 |
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破壊箇所に接近。ガラスの破片は館内に散乱していました。 |
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窓枠ごとブチ壊されています。 |
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ガラスの破片が床を覆っています。 |
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ここからは日本海が良く見えます。 |
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畳の座敷席だったらしい場所には、椅子などが押し込められていました。 |
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各席にあったらしい調味料入れ。 |
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今度は厨房スペースへ。 |
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食器が整然と積まれてあります。 |
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生々しいです。 |
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割り箸も散乱していました。 |
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ここは従業員の休憩室らしい場所。荷物でいっぱいです。 |
作者:破片が室内にあるということは、外から攻撃を受けたことになるが?
助手:攻撃(苦笑)。でもあの壊れ方は重機で突撃しない限り無理そうですねぇ。
作者:重機は無理だろう。窓の外は砂の斜面だし、跡が残ってしまうよ。
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今度は事務所スペースへ。若干物色された痕跡が。 |
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これといって目を引くものはありませんね。 |
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微妙に残された残留物がちょっと不気味。 |
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ここは客席ではなく、バスの乗務員が休憩する部屋でした。 |
〜編集を終えて〜
助手:これで終わりですね?
作者:そうだなあ、ここまで紹介したのだから、先述した今浜にある会員制リゾートホテルの写真も載せておこう。オマケ扱いで。
助手:ここは僕も知っていますよ。客や従業員が居るところは一度も見たことがありません(苦笑)。
作者:ホテルのサイトでは休業扱いになっている。しかし休業期間が長すぎるよ(苦笑)。
助手:これは2009年の夏に先輩だけで行ったときの写真ですね。
【注意】下に紹介する写真の物件は廃墟ではありません。人気は無いですが管理物件です。無謀な探索は厳に慎みましょう。
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ドライブウェイの今浜起点にあるホテルの建物です。 いつ行っても人気がまったく無いのですが、ちゃんと管理がなされているようで、 敷地の雑草も少なく、建物に損傷もありません。 |
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客室の窓らしき場所をズームで撮影。 客室の窓は海に面しています。丘にあるので、見晴らしは最高でしょう。 窓のカーテンが雑にめくりあげられているあたりが長期休業を匂わせています。 |
助手:さすがの先輩も、強行突破はしなかったようですね(ニヤニヤ)。
作者:うーん、微妙だった・・・。正面の門が開いていたら、さらに建物に接近していたことだけは確かだ。観光客のふりをして(苦笑)。
助手:中でコーヒーでも飲めないかなって言い訳ですね?
作者:そうそう(苦笑)。まあ門は閉まっていたし、思わぬセキュリティがかけられていたら非常に面倒なことになる。休業中ならばここで撤退して正解だったな。
おわり