2-9 滑川のSLホテル(オリジナル)

緊急特集!

読者投稿で反響が大きかった富山県滑川のSLホテル。最近になって廃業になったのを知ったのですが、廃墟ファンならぜひ見てみたい物件でした。でもその立地条件の悪さに近所でありながらついつい探索を引き伸ばしていました。しかし事態は急変しました。突然助手のKatsu君から衝撃的な報告があったのです。

「読者投稿」のSLホテル(ほえいぬ様提供)をまだ見ていない人は、そちらから見てください。
客車が健在だった頃のSLホテルが楽しめます。
2001年5月27日更新分をすぐに見たい方はこちらからどうぞ。

助手:せんぱ〜い、大変ですよ〜!!!(真剣な表情でつかみかかってきた)
作者:おいおい、なんだよ、ひきつった顔で・・・
助手:確か先々週くらいに先輩から滑川SLホテルの写真を見せてもらいましたよね?
作者:ああ、それは読者からもらった情報なんだ。
助手:それが今、大変なことになってるんです!
作者:・・・なーんかいやな予感がするな・・・
助手:その嫌な予感が的中です。なんと近いうちにSLホテルの客車部分が解体処分されるそうなんですよ!
作者:何だと〜!!!それはどういうことだ!(こっちも興奮してきた)
助手:以前の先輩の情報のとおり、SLはけっこう記念写真なんかで人気があるんですけど、ホテル部分だった客車が・・・あのとおりなんで、老朽化して見苦しくなる前に取り壊してしまうそうです。
作者:なんてこった・・・俺的には客車のほうが興味があったのに・・・それで壊した客車はどうなるんだ?
助手:よくある鉄道部品の即売会などはしないみたいなんで、そのままスクラップの可能性が大です。僕としても残念です・・・
作者:解体されるのはいつ頃かな?
助手:はっきりした日時はわかりません。ただ、解体処分の情報はかなり広まったようなんですでに一部の鉄道マニアが客車の部品を持ち去っているといった話を聞きました。僕としては抜け殻になる前に訪問して部品を物色したいんです。
作者:え?お前も部品を盗むの?
助手:失敬な!僕の場合は正攻法ですよ・・・おそらく解体業者が来ているからそこの作業員に許可を得て持って帰ろうかと思ってます。まあ、交渉次第ですね。
作者:それなら、お前が案内してくれるんだな?
助手:そのために先輩を呼んだんですよ・・・決行日は11月23日、午前中のうちに現地に着きますよ!
作者:よっしゃー!ついにSLホテルとのご対面だー!

またまた助手に助けられました。大スクープです!決行日、快晴!滑川まで助手の車で向かいました。しかし!お互い準備に手間取り、現地到着が正午になってしまいました・・・

現地に到着、公園に入場するには入場口から入場券を買って入らなくてはいけませんが、僕たちは客車見物だけなので、左側に見えたグラウンド側から大回りして客車まで近づきました。こりゃ、ルール違反でしたね。反省。(^^;

作者:うわあ、思っていたよりへんぴな所だな・・・
助手:でも天気がいいから、家族連れがけっこう来ていますね。
作者:鉄道マニアや廃墟ファンらしき人はいないな。どうやら俺達だけみたいだ。
助手:ちょっと歩かなくてはいけませんね〜、あれ?客車が・・・
作者:おい?確か客車は5両だったはずだよな?
助手:ええ・・・でも・・・2両しか見えませんね・・・
作者:先頭2両だけしか見えないぞ!どうなってるんだ?おい、まさか・・・
助手:そのまさかがまた的中しそうですよ・・・
作者:あっ!
助手:げっ!
作者:遅かった・・・後3両はすでに瓦礫だ・・・

ショック!客室として使われていた20系、10系客車はすでに解体されていました。
どうやら11月23日朝から解体作業に入ったようです。もう少し早く来ていたら・・・
見事な瓦礫の山。もう原形をとどめていません。寝台の残骸が辛うじて確認できるくらいです。
ほえいぬさんの写真にもあった浴場の小屋はすでに取り壊されて跡形もありませんでした。

さらに、解体現場をお見せしましょう。

それは豪快な壊し方でした。台車の上には瓦礫と化した客車の車体が積み上げられています。

助手:そんなあ。これじゃ満足に部品なんか取れませんよ・・・特に10系、20系に期待していたのに・・・(涙)。
作者:俺も解体前の姿をこの目で見ておきたかったぞ(同じく涙)。ありゃ、浴室だった建物まで消えている!なんということだ・・・
助手:仕方ないです。この瓦礫からお宝を発掘しますよ。もう瓦礫だから、許可なんか要らんでしょ。
作者:うむ、ちょうどいい時間帯だ。解体作業も昼休みで動かないからな。俺は撮影といこうか・・・

・・・という具合に、僕は写真撮影、助手は部品探しに熱中しました。それでは、昼休みまで何とか無事だった35系客車のほうを紹介しましょう。こちらはホテル時代に1両はお座敷スペースに、1両は食堂に改造されて使われたようです

助手:先輩!残った客車なら、中に入れますよ。扉が開いています。
作者:おお、これはいい具合だ。初の内部公開になるぞ。

解体の時を待つだけになった往年の名車。所々窓ガラスが割れていました。
外に立てかけてあるのは改造時に取り付けられたサッシ窓です。まだきれいでした。
後方側の客車はお座敷車両だったところです。座席はすでになく、畳も撤去されていました。
真新しいエアコンだけが意味もなく目立っていました。
こちらは前方、先頭車だった客車。食堂だったところで、奥は厨房のスペースになっていました。
椅子やテーブルはありませんでしたが厨房の設備はかなり残されています。
厨房の内部。流し台やガラス戸がある棚などは健在。あまり荒れた跡はなく、
スッキリしていました。右端には箸袋が散乱しています。
厨房から食堂を見たところ。右には誰かが忘れていった上着が・・・

助手:あ〜あ、これじゃダメだ。面白そうな部品はほとんど残っていないよ。やっぱり先に来たマニアがいい物をほとんど持ち去ったみたいだ。
作者:(苦笑)まあこれだけガランとしていたらがっくりするよな。廃墟ファン的にもいまひとつインパクトがないね。でも内部を見れたのはスクープだな。
助手:また、さっきの残骸から、お宝を見つけてきます。(また探しに行った)

厨房の先はどんづまり。古ぼけた座椅子とへんなガラクタが残されていました。
35系客車に健在だったトイレ。現役時代から改造されていないみたいでした。
廃業からかなり年月が経っているのに、トイレットペーパーが・・・
こちらは洗面所。けっこうきれいでした。保存状態が良かったかのかな?

作者:あっという間に昼休みが終わりそうだぞ。このままだと、残された35系客車も危ない・・・
助手:やむおえません。僕たちがこのSLホテルの最期を見届けましょうよ。
作者:無念だな・・・残してほしいってコメントしたのに、すっかり裏目に出てしまったもんな。

次回更新につづく

さてこの後、運命のときを迎えました。SLホテルの最期のシーンは、次回更新にてデジカメの写真の他、銀塩写真のスナップもたくさんあるので、一気に公開したいと思います。乞う、ご期待!!

←メニューに戻る