白雲楼ホテル解体速報

当サイトの掲示板、その他廃墟紹介サイトの掲示板でも広く書き込まれているとおり、
石川県金沢市の湯涌温泉にかつて営業していた「白雲楼ホテル」の建物(本館、貴賓館、新館)の
取り壊し工事が始まりました。廃屋にっぽん周遊では2006年6月11日に簡単な取材が出来ましたので、
その様子をお届けします。また、分かる範囲でその詳しい状況をお伝えしようと思います。

6月18日のレポートを見たい方はこちら

2007年夏のレポートはこちらです!!
@進捗状況(本館、貴賓館)
6月11日現在、予想より解体の作業は早く進んでいました。かつて探索に成功した廃墟ファンたちが好んで撮影した被写体(本館、貴賓館を含めた正面玄関前の様子)が無残な状態で晒されていました。シンボルともいえる本館の屋根および貴賓館の大部分はすでに取り壊され瓦礫と化していました。ただし貴賓館の最上部の屋根については、解体されずに取り外され、正面玄関前広場に移動されていました。これは間違いなくこの屋根部分を保存するために行われた措置でしょう。どのように保存、活用するかは不明ですが(情報を募集しております)白雲楼ホテルの遺構が少しでも後世に残されるといった点ではせめてもの救いでしょうか。しかしながら解体前の晩年に心無い侵入者が壁に残した落書きがそのまま残っており、保存、展示するためにはある程度の補修が必要でしょう。
【写真上】取り外されていた貴賓館の屋根部分
A進捗状況(新館)
新館の取り壊しは未だ本格的には始まっておらず、建物そのものは残っています。ただし新館前の広場には重機がいくつも集結しており、解体は時間の問題と思われます。
B内部
本館側の出入り口は瓦礫の山や床を撤去したために階下まで空いた穴が多数あり、内部を見るための潜入は大変危険です。新館側の出入り口も遠目で見た限りでは、内部の天井板などは撤去されており、鉄筋や配管、配線があちこちに垂れ下がっていて、やはり危険です。今回の調査は遠くの位置からデジカメのズーム機能を駆使して接近画像を撮影するだけにとどめました。
外観から判断できる確実な情報は、内装材の撤去でしょう。産業廃棄物の分別など、法規制が整備された現在では、過去のように木材、金属、コンクリート、ガラスなどが混ざった状態で廃材処分することが出来なくなりました(混ざった状態で運び出すこと自体は可能ですが、処理業者への引渡し時に処分費用が非常に高価になる)。あらかじめ解体前に窓ガラス(嵌め殺しの窓はそのままでした)や金属製の窓枠はもとより、内部に残されていた什器や調度品、布団、カーテンなど布製品、鉄筋コンクリート建ての新館では壁紙や障子までもが撤去されており部屋の中はがらんどうに見えました。こうした徹底的な分別作業がありましたが、運び出されたと思われる調度品や内装品の行方は残念ながらわかりませんでした(情報を募集しております)。
C付帯設備
ホテル本体のほかに、多数の付帯設備を持つ白雲楼ホテルですが、本館の正面玄関前広場の脇にある建物は、そのままになっています。その横にある利用客用プールは、解体作業時に舞い上がる塵、土煙を緩和するために撒く水の水源として使われていました。おそらく水中ポンプでプールの水をくみ上げ、ホースで解体現場まで運んでいるのでしょう。
正面玄関までに至る上り道路沿いに多数見かける従業員用宿舎は、一部の建物で解体作業が行われようとしていました。当サイトで先行公開された湯涌の廃アパートでは、ホテル本体と同様に内部に残っていた調度品、内装品が運び出されており、畳も全部運び出されて外に積み上げてありました。そのすぐ隣にあった民家風の宿舎(未潜入)も内部の物が運び出されていました。ホテルの解体期間の間に同様に取り壊されるものと思います。
D今後の見通し
現在は本館、貴賓館共に正面玄関周辺の敷地に建っている箇所で解体が行われていますが、今後は山の斜面に建った本館の大部分にあたる取り壊しに着手するものと思われます。この作業は下に玉泉湖、現役の旅館や民家があるため、慎重に行わなければならず、ペースダウンする可能性が高いと思われます。新館の解体はスムーズに行われそうですが、これらを合わせたら金沢市の年中行事である氷室開きがある7月1日までには間に合わないと思われます。正面に掲示された工事の内容が書かれたプレートによると、工事期間は7月20日までとなっており、遅くとも解体工事はこの日までに終了するものと思われます。

E周辺の状況
解体作業は大変危険なため、工事作業中はもちろん、解体現場は部外者立ち入り禁止となっています。現場は工事業者が設置したフェンスに囲まれており、近づくことは出来ません。建物本館正面広場には解体作業の作業員が集うプレハブ小屋が建てられており、作業の長期化を感じさせます。
今回の取材で、車で正面広場に向かう途中、坂道をフラフラと登る年配の女性を見かけました。先着し、写真を撮っていると、その女性も白雲楼ホテルの最期を見届けに来たのか、こちらにゆっくりと近づいてきて、フェンス越しに壊れかけの建物をじっと眺めていました。解体前の日常的な風景なのでしょうか。先述したとおり、解体作業中の現場は非常に危険です。くれぐれも無謀な行動は控えてください。純粋な気持ちで見物に来る人もいます。その人たちのささやかな楽しみを奪わないようにしましょう。

6月18日調査レポートはこちら→
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