1-50 山中(石川県)の廃温泉旅館

石川県加賀市の山中温泉。秋は紅葉が美しいところです。
こんな温泉地にも、廃業した温泉旅館がたくさんあります。
この物件は、その中でもかなり規模が大きい温泉旅館です。
長らく放置されていましたが、ついに解体となりました。
公開を先延ばしにしていた結果がコレです(汗)。
今更感がいっぱいですが、予告した以上は公開します。

〜編集作業中の会話〜

助手:さあさあ、どんどん進めますよ。次は・・・?
作者:オマエ、元気だな・・・。
助手:いやいや、早く更新を終わらせて肩の荷を下ろしたいですよ。かれこれ10年近くお手伝いしているんですよ。
作者:そうだったな、ご苦労。へへへ、次の物件は大規模だ。写真が多いぞ〜。
助手:うわあ、カンベンしてくださいよぉ(涙)。
作者:ほれ、コレが写真のデータだ。探索は2002年だな。まずは整理とリサイズを。
助手:おや?この物件・・・。
作者:どうした?見たことがあるのか?
助手:っていうか、ここって先日実施したしらさぎ号の清掃ボランティアで帰り道に見かけましたよ。
作者:あれ?この物件は道の駅より山奥にあったはずだが?
助手:福井県あわら市に用事があったので、山越えで県境を越えたんですよ。そうですか、ここもいよいよ取り壊しですねぇ。
作者:!!!!!・・・オマエ、今なんて言った!!!
助手:そんな怖い顔しないでくださいよ(苦笑)。一瞬しか見えなかったけど、敷地に重機が何台も入っていましたよ。窓ガラスも撤去されていましたし。
作者:なんてこった・・・(涙)。昨年様子を見に行ったときは何の変化も無かったのに。悔しいなあ。
助手:追悼公開になりましたね。
作者:くっ・・・、この物件は例によって北陸廃物紀行のダイゾウさんが先行して公開を済ませていたのだ。多くの写真がカブっているから、公開を後回しにしていたんだ。
助手:そうですか。でも、こうなった以上は公開したほうがいいですね。少しずつ作業を進めましょ。
作者:本物件は結果的に追悼公開となりましたが、解体が完全に確認できるまでは本文中の物件名は伏せておきます。写真に写っている名前についてはそのままとします。


この物件は北陸廃物紀行のダイゾウ氏との合同探索です。ダイゾウさんありがとうございました。
北陸廃物紀行ではさらに詳しいレポートを紹介していますので、まずはそちらを見てからここの閲覧をお勧めします。
この後、廃墟伝説の黒魔氏、MUHAのWebサイトのMUHATYU氏、他合同探索希望者との合同探索も実施されました。
翌年、ダイゾウ氏と廃墟標本5.6のkazi氏との合同探索も実施されました。
大きく分けて、2002年秋の探索、2003年秋の探索がありますが、今回は両者の写真を混在して公開します。
解体の様子は、2010年秋に調査したものです。


この物件を紹介する前に、周辺の観光案内を簡単に説明します。

山中温泉は、開湯1300年の歴史ある温泉で、加賀温泉郷ではもっとも山奥に位置する温泉地です。
その立地から、鶴仙渓と呼ばれる渓谷美が楽しめ、秋には紅葉が美しいところです。
あやとり橋、こおろぎ橋、栢野大杉など名所も多く、栢野大杉には昭和天皇が巡幸でご覧になったことがあります。
温泉街の中心地は盆地部分に集中していますが、峠を越える国道364号線沿いにも温泉旅館が点在しています。
この沿線には道の駅「山中温泉ゆけむり健康村」があり、山中温泉の保養施設ゆーゆー館、露天風呂、温泉プール、
うたせ湯、サウナ、家族風呂、テニスコート、ゲートボールコート、フィットネスジムなど、多彩な施設を備えています。
敷地にはかつて加賀市の旧国鉄駅と山中温泉を結んでいた北陸鉄道加南線の電車「しらさぎ号」が静態保存されており、自由に車内を見学できます。



山中温泉 ホテル和○園

加賀温泉郷は、主に関西方面の観光客が多く訪れ、その観光収入によって支えられてきました。歓楽温泉という側面も持ち、一人旅、カップルや家族よりも男性の団体客に人気がありました。旅館側も、団体客を呼び込むことで一度に多くの収入を得られて、好都合だったわけです。
多くの温泉旅館は更なる団体客を見込んで施設の増築、仲居など従業員を増やすなど規模を拡大していきました。いわゆるバブル期に増築に増築を重ねた宿泊施設が多発した、あの現象が加賀温泉郷でも発生したのです。
しかしレジャーの多様化やバブル崩壊、阪神大震災など災害の影響で従来の団体客が激減し、肥大化した旅館の多くが苦境に立たされました。
地域活性化のために温泉街の中心地は総湯(公衆浴場)や観光客向けの店舗が並ぶ散策道が整備されて活気づいていますが、温泉街から離れた旅館群はこれらの活気策に乗ることができずに衰退したようです。
現在は自己の施設だけで集客が可能な旅館と外資系の格安温泉チェーンに吸収された旅館だけが存続し、あとは淘汰されました。本物件はその中の1件です。

ホテル和○園は上述のとおり増築に増築を重ねた温泉旅館の典型です。
先に建設された本館と後に増築された新館に分けられ、本館はさらに二つのゾーンに分けられます。
館内はお城をイメージした内装になっており、館内の施設には戦国時代に活躍した偉人の名前や日本三名山の名前がつけられています。客室は本館の本丸、二の丸と新館の三の丸に分かれています。大広間は本館、大浴場は新館にあります。


ホテル外観

玄関ロビー

新館ロビー

本館(本丸)客室

本館(二の丸)客室

新館(三の丸)客室

御食事処「ねね」

クラブ「淀」

本館 大広間

本館 中広間

新館 中広間

新館 大浴場

厨房、機械室、中庭

従業員スペース

従業員寮

ホテル解体


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